中國陝西省の周原遺跡、先周時代の都と判明
ソース:新華社作者: 2025-04-28 16:01
陝西省寶鶏市にある周原遺跡。(2月25日、ドローンから、寶鶏=新華社記者/李一博)
中國社會科學院はこのほど、2024年の中國の考古學上の新発見として陝西省寶鶏市の周原遺跡を選んだ。同遺跡で見つかった先周時代の大型版築(はんちく)建築群は、この地が商(殷)王朝を滅ぼす前の周人の都邑(とゆう=都城)であったことを示す重要な証拠となった。
「周原」はかつて文獻にしか登場しない名稱だった。文獻によると、周人の先祖である古公亶父(ここうたんぽ)が3千年以上前に一族を率いて「周原」に移り住んだとされる。周原遺跡は古公亶父が岐山の麓に移った後の周人の活動の中心地であったと考えられている。
同科學院考古研究所の宋江寧(そう?こうねい)副研究員によると、広義の周原は東西70キロ以上にわたって広がり、渭河(いが)の両岸にまたがっている。その中で遺跡の面積が大きく、密集し、集落のグレードの高いのが狹義の周原遺跡で、寶鶏市の扶風県と岐山県の境界にある20余りの自然村を含み、面積は約30平方キロだという。
陝西省寶鶏市にある周原田野考古センターで、周原遺跡から出土した文物を整理する陝西省考古研究院の研究実習員、閆永強(えん?えいきょう)さん。(2月25日撮影、寶鶏=新華社記者/李一博)
考古學者の石璋如(せき?しょうじょ)氏が1940年代、この地域で調査を開始し、古公亶父が移り住んだ周の都であるとの見解を示したことで、周原の考古學研究は始まった。
それから80年余りにわたり、文化財研究者らによる発掘作業が何度も行われてきた。周文化の発祥の地で、西周王室の宗廟や王臣の住居が集まるこの遺跡の地下には極めて豊富な遺物が眠っており、大型の版築建築の基礎や墓地、手工業の工房、青銅器の貯蔵庫、甲骨など、先周および西周時代の遺物が次々と発見されている。
この地域では古くから青銅器がしばしば出土しており、有名な何尊(かそん)や毛公鼎(もうこうてい)、大克鼎(だいこくてい)、小克鼎(しょうこくてい)、史牆盤(ししょうばん)などもここで見つかった。1963年に出土した何尊の內底に刻まれた銘文「宅茲中國(ここ中國に宅す)」は、歴史上最も早く「中國」という言葉が用いられた例とされる。
陝西省寶鶏市にある周原田野考古センターで、周原遺跡から出土した文物を調べる陝西省考古研究院の研究実習員、閆永強さん。(2月25日撮影、寶鶏=新華社記者/李一博)
?。玻埃玻澳辘椁?、陝西省考古研究院、北京大學考古文博學院、中國社會科學院考古研究所が合同で組織した周原考古チームが遺跡の発掘を継続。西周初期に建設された小城と、西周後期の大城の跡を発見したほか、王家嘴(おうかし)で初めて先周時代の大型版築建築の基礎を見つけるなど、大きな成果を収めている。
この発掘調査で発見された先周文化の大型版築建築は、同遺跡が、古公亶父が移り住んだ先周の都邑であったことを裏付ける証拠となった。
王家嘴地區では、南北150メートルを超える先周文化の大型版築建築帯が見つかり、二つの大型建築が完全に発掘された。異なる時期に建造された宮城、小城、大城からなる三つの城壁も発見され、周原集落の城壁構造が初めて明らかになった。
陝西省寶鶏市にある周原遺跡から出土した陶鬲(とうれき)。(2月25日撮影、寶鶏=新華社記者/李一博)
亀甲や獣骨の破片204個が見つかり、刻まれていた180文字余りを判読した。甲骨の形狀や年代、刻まれた內容など、多くの點で新たな発見があった。これらの甲骨文字は、天文暦法や歴史地理、軍事?戦爭、數字占いなど豊富な內容を含み、例えば月の満ち欠けを示す「朏(ひ)」という文字が出土文獻から初めて見つかった。また「秦人」という文字も発見され、現時點で見つかった最古の秦に関する記録とされている。
交錯する道路や整然とした中庭、巨大な穀倉など、周原遺跡から次々と発掘される遺構や遺物は、古代人の生活の豊かさや多様性、周文化の調和と優雅さを物語っており、重厚な悠久の中華文明をうかがい知ることができる。
陝西省寶鶏市にある周原遺跡から見つかった、甲骨文字の刻まれた出土品。(2月25日撮影、寶鶏=新華社記者/李一博)
約50萬平方メートルの周原宮城遺跡では、かつて人々が生活し労働していた痕跡が隨所に見られ、宮城內に版築建築が點在し、複數の道路が縦橫に交差していることがボーリング調査でわかっている。発掘された約1200平方メートルの王家嘴二號建築は、戦國時代後期の高床式の大型穀倉であると推定されている。
周原遺跡の考古學的調査が進むにつれて、連綿と続く中華文明の文化的要素がますます掘り起こさ、解釈が加えられるだろう。寶鶏周原博物院の付博(ふ?はく)院長は「周原遺跡に代表される周文化や、周人が最初に提唱した禮楽文明と徳政思想は、中華文明の発展と継続に大きな影響を與え、時代を越えて中華民族の精神的血脈となった」と語った。
陝西省寶鶏市にある周原遺跡から出土した、占いの文字が刻まれた骨。(2月25日撮影、寶鶏=新華社記者/李一博)
陝西省寶鶏市にある周原遺跡から出土した陶器。(2月25日撮影、寶鶏=新華社記者/李一博)
編集:董麗娜
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